既にコラムに書きましたが、自己破産の場合、原則として、退職金の8分の1相当額が財産とみなされます。
例えば、現時点での退職金見込額が400万円であれば、50万円が財産とみなされ、その一部を債権者に配当することになります(配当不要とされることもあります。詳細は弁護士にお尋ねください。)。
それでは、退職金が企業年金の場合はどうでしょうか?
近年、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済などの制度を導入する企業が増えています。
これらの制度により支給される年金や共済金は、いずれも、差押禁止債権とされています(確定給付企業年金法34条1項本文、確定拠出年金法32条1項本文、中小企業退職金共済法20条本文)。
そして、自己破産においては、差押が禁止されている財産や債権は、財産とはみなされません。
よって、現時点での確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済の金額が400万円である場合、その価値は0円とされ、債権者への配当は不要です。
このように、退職金といっても、通常の退職金と企業年金とでは扱いが異なってきます。
弊所にてご相談の際には、退職金の種類についても正確にお知らせいただければ幸いです。
垂水駅前法律事務所 弁護士 松岡英和