夫婦の別居期間が長くなれば、離婚が認められる傾向にあります。
それでは、夫が単身赴任を開始して数年が経ってから夫に離婚を切り出された場合、離婚は認められるでしょうか?
もちろんケースバイケースではありますが、単身赴任=離婚原因となる別居と評価するのは難しいでしょう。
そもそも、夫婦が別居を開始する場合、その背景には、愛情の喪失、性格や価値観の甚だしい不一致、不貞など、夫婦関係を継続しがたい事情があることが多いです。
一方、単身赴任は、勤務先の業務命令で開始されるのであって、その背景に夫婦関係を継続しがたい事情があるとは限りません。
夫の単身赴任後も、これまでと同じく妻が夫の給与を管理し、子の養育や自宅の清掃などの家事を妻が担ってきた場合には、たとえ夫婦が別々に暮らしていても、婚姻関係が破綻しているとは言えないのではないかと考えます。
逆に言えば、単身赴任の長期化により夫婦としての実態(協力関係など)がなくなってしまった場合には、単身赴任=離婚原因となる別居と評価されることもあるでしょう。
要は、単身赴任が長期化したからといって、離婚に応じる必要はないということです。
最近、単身赴任絡みの離婚のご相談が多いため、コラムにしてみました(あくまでも私見です)。
ご参考になれば幸いです。
垂水駅前法律事務所 弁護士 松岡英和