債務者が任意に債務を支払ってくれない時には、差押を検討します。
債務者が近いうちに退職する予定であれば、退職金を差し押さえることもあります。
それでは、債務者の退職金はいくらまで差押可能でしょうか?
以下、債務者の退職金が手取で400万円とします。
Q1. 離婚した夫が養育費を支払ってくれない。
Q2. 夫が生活費を渡してくれない。
これらの場合には、夫の退職金の2分の1である200万円まで差押可能です(民事執行法152条3項)。
Q3. 夫が慰謝料を支払ってくれない。
Q4. 夫が財産分与をしてくれない。
Q5. 友人にお金を貸したが返してくれない。
これらの場合には、夫や友人の退職金の4分の1である100万円まで差押可能です(民事執行法152条2項)。
なお、会社によっては、退職金の代わりに確定拠出年金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済などの制度を導入していることがあります。
確定拠出年金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済は、退職金に類似するものであっても、差押をすることはできません(確定拠出年金法32条1項、確定給付企業年金法34条1項、中小企業退職金共済法20条)。この点にご注意ください。
退職金の差押が成功すれば、債権回収は大きく前進します。
債務者の退職や転職の時期が近そうであれば、その機会を逃さないようにしてください。
垂水駅前法律事務所 弁護士 松岡英和