交通事故のご相談について、弊所では、被害者側からのご相談をおうかがいすることが多いです。
逆に、加害者側からのご相談やお問合せはあまりありません。
被害者は、加害者側の損保会社から保険金を受け取って示談することになります。
ですので、被害者にとって、加害者が入っている保険の内容が重要になってきます。
以上が大原則なのですが、実は、被害者側の保険を使うことが望ましいケースも多々あります。
よって、被害者側の保険内容についても、万一事故に遭った場合、しっかり確認しておきたいところです。
ご自身の保険証券をご覧ください。ご自身の保険に人身傷害補償特約は含まれていますか?
被害者が加害者に損害賠償を請求する時、被害者は、被害者自身の過失割合に応じた損害部分を損害額から控除しなければいけません(過失割合、過失相殺)。
例えば、損害額が1000万円、加害者の過失割合が6割、被害者の過失割合が4割の場合、
被害者は、たとえ損害額が1000万円でも、加害者に対し、相手の過失割合に応じた600万円しか請求できません。
その理由は、被害者は、ご自身の過失割合に応じた損害部分(400万円)を控除しなければならないからです。
それでは、この400万円の損害は、被害者責任ということで、全く補償され(泣き寝入りするしか)ないのでしょうか?
このような場面で重要となるのが、先ほどの人身傷害補償特約なのです。
人身事故において、被害者自身の過失により生じた損害であっても、ご自身の人身傷害補償特約を使えば、被害者ご自身の損保会社から400万円が支給されることがあるのです(細かな支給条件などの保険の内容については、保険約款(保険証券の裏面等に書かれています)を確認しましょう)。
また、被害者側の保険にLAC(ラック)と呼ばれる弁護士費用特約が含まれていれば、被害者が弁護士をつけた場合に必要となる弁護士費用(相談料、着手金、報酬金など)を、被害者側の保険会社から支払ってもらえます。
このように、交通事故において被害者側の保険を使うのが望ましいケースが多々あります。
交通事故の被害にあわれて弁護士に相談される際には、
交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、休業損害証明書などの資料に加えて、ご自身の保険証券、保険約款もお持ちいただけたら幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
垂水駅前法律事務所 弁護士 松岡英和