垂水駅前法律事務所

【相続】遺言トラブル!遺留分って分数なの?

お父さんが亡くなり、私(父の子。以下、Xさんといいます)とお母さんが遺産を半分ずつもらえると思っていたら、とんでもない遺言・遺書が出てきた。
父の遺言には、こんなことが書かれていた。

 

私(父)の全財産を妻(母)に相続させる

Xさん『お父さん、ひどいじゃないか!私は遺産を一切もらえないの?』

 

以上は、比較的よくある相続に関するご相談です。

 

さて、遺留分(いりゅうぶん)という言葉に聞き覚えはありますでしょうか?

遺留分とは何ぞや?
ザックリ言いますと、どのような内容の遺言が作られていても、一定の相続人に対して最低限保証された相続分(確保できる取り分)のことです。

 

民法1028条は、この遺留分の割合について、次のように定めています。


民法1028条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人(※1)は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
 一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
 二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

※1…兄弟姉妹は遺留分がない点にご注意ください。


 

 

つまり、Xさんの本来の相続分は2分の1ですが、上記のような(「母にすべての財産を~」という内容の)遺言が出てきた場合のXさんの遺留分は、4分の1(※2)になります。
※2… 計算式=1/2(民法900条・法定相続分)×1/2(民法1028条2号が定める遺留分の割合)

 

Xさん:『なーんだ! 私は、母に、父の遺産の4分の1を請求できるんだ!』
その通りです。

 

でも、Xさんが母に請求できる金額を計算するとなると、実はなかなか難しいのです。
遺留分を侵害された場合、Xさんが母に請求できる金額の計算式は以下のとおりです。

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遺留分侵害額(Xさんが母に請求できる金額)
=〔(父死亡時の財産総額)+(生前贈与の額)-(父死亡時の債務総額)〕×(民法1028条が定める遺留分割合)×(民法900条が定める法定相続分)-(Xさんが相続で得た財産額)+(Xさんが相続で負った債務額)-(Xさんが生前贈与や遺贈を受けた額)

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どうですか?
遺留分が2分の1だとか3分の1だとか言われたら簡単な気がしますが・・・・
上の計算式に当てはめて計算できそうですか?なかなか難しくないですか?

 

遺留分の事件は、専門的な知識がないと計算ミスを起こしかねません
間違った計算をしてしまい、本来請求できる金額よりも低い金額で話をつけてしまった・・・・こんな後悔をされませんようにくれぐれもご注意ください。

 

自分に不利な遺言が見つかったこんな遺言、とても納得できない
将来的に、このような(妻と子どもの間で財産の分け方をめぐる)争いが起こらないようにしておきたい。
そんな時は、ぜひ最寄りの弁護士にご相談ください。

 

遺留分だけではなく、ほかにも、たとえば遺言が有効か無効かなど、相続に関するトラブルやご相談をいろいろといただきますので、またの機会にこちらのコラムでお話したいと思っています。

 

垂水駅前法律事務所 弁護士 松岡英和

 

 


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